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「煮干soba味玉 ¥900」@麺バル HACHIKINの写真日曜日 薄曇り 先客12名 後客8名

〝今年の店は今年のうちに〟

と大きな志を持って始めた今年オープンした新店限定での未訪問店巡りだが、まだまだ候補の店がたくさん挙がってくる。本日の二食目は前食の湘南台からも割と近い本鵠沼駅近くにある今年5月1日オープンのこちらへの初訪問を決めた。どうやら巣鴨にある某タイヤメーカーの星付き店のプロデュースのようだ。

湘南台駅から小田急線で15分ほどで最寄りの本鵠沼駅に着いた。湘南台駅の大きさから比べると随分とコンパクトな駅舎だが何とも味わいのある駅だ。また駅前に立ち並ぶ店の雰囲気も哀愁がある。そんな通りを駅から離れて行くとビーチハウスのようなスカイブルーの建物が現れた。反町隆史と竹野内豊がいてもおかしくない建物だ。

店先に行列はないがドアにはオープンの看板が掛かっていたので扉を開けると店内はほぼ満席で駅前の静けさとは違い活気に満ちている。券売機はないのでカウンターに座り卓上メニューからお題を選び口頭で注文した。午前中の前食が醤油系だったので今回は巣鴨では見たことのない煮干系にしてみた。

実際にオープンキッチンの中には反町と竹野内の御両人がいた。さらには広末涼子までもがホールを担当しておりキッチンには稲盛いずみが補助を務めていて驚いた。こんな所にリアル「ビーチボーイズ」が存在しているなんてと反町隆史のForeverを口ずさみながら店内を眺める。

今にも潮の香りがしてきそうな店内の奥には座敷席もあるようだ。なので近所の家族連れも多く地元の方に愛されている。ラーメンだけではなくおつまみ系のフードもありボトルキープの焼酎も所狭しと並んでいる。そんな店内を先程ご紹介した四人体制で回している。リズム感のある調理場のスタッフや心地よい接客のホールスタッフに囲まれて自然と穏やかな気持ちになっていく。

穏やかな気持ちと裏腹にForeverのサビが思い出せないのがもどかしく「Ah Forever your love」の部分だけを繰り返していると我が杯が到着した。高台が朱いオリジナルの反高台丼の中の姿は器は似ているが巣鴨のような洗練された感じとは一味違った親しげな表情を見せている。

まずはスープをひとくち。優しい煮干しの香味が主導権を握っているが苦味やエグ味などは全く感じない。スープの液面に煮干出汁特有の水泡が浮かんでないので香味油に煮干しエキスを抽出しているのだろうか。その香味油をレンゲの底で避けるようにしてスープをすくって飲んでみると丸鷄などの動物系出汁と鰹節の魚介出汁が力強く基礎を築いている。その旨みの重なるスープの上に煮干しの風味を乗せている構成のようだ。カエシは煮干しの風味を損なわないように醤油の香りを抑えてあり、塩分も控えてあるが味の輪郭がぼやけないような絶妙なラインを守っている。

麺上げまで90秒ほどの中細ストレート麺はしなやかさが持ち味なのだろうが頼りなくも感じる。口当たりと喉ごしは追求されていて最大限に発揮しているが歯切れや歯応えの面では個人的には物足りない。中細麺に歯応えを求めてはいけないのかもしれないが少し残念だ。足りない歯応えを補う麺自体から溢れる小麦の香りと甘みは内麦の全粒粉によるもので麺肌には胚芽のフスマが見られ色付いている。麺の甘みと醤油ダレの塩気と煮干しの香りが渾然一体となって胃袋に収まっていく感覚を幸福と言わず何を幸福と言えようか。と大げさな表現をしたくなるほど素晴らしい組み合わせだ。

具材の焼豚は部位違いで二種類。しっかりとソミュール液でマリネされた豚ロースをオーブンでじっくりと焼いてある。薫香はしないがパストラミのようにスパイスがアクセントとなっているが高級食材ゆえに原価上の理由でかなり薄切りなのが寂しい。五倍くらいの厚切りで肉質の良さを味わってみたいものだが値段の事を考えるとそうもいかない。もう一枚の豚モモ肉はシンプルな焼豚で目立ちはしないが赤身本来の旨みを内に秘めている。

追加した味玉は見た目も味わいにも熟成感は全くないがネットリした黄身が熟成の深さを表している。かなりの半熟と思われる黄身だが塩気や醤油香は浸透していないが明らかにピータンの黄身のような変性が見られる。

細切りメンマの食感が物足りない麺の歯応えをサポートしてくれる。歯応えはあるが口溶けも良いのは完全発酵メンマの特徴で下処理の段階で残された発酵臭が独特の風味をプラスする。苦手な人も多いようだが発酵臭を感じなければタケノコと同じである。

薬味は白ねぎが細かく切られ出過ぎない香りと食感を演出し、青みは小松菜ならではの青い香りとシャキッとした歯切れで食感に句読点を打つ。ラーメンの具材としては珍しい釜揚げしらすだが煮干しとの相性の良さは唯一無二で言うまでもない。上質な鰹出汁で作った小松菜の煮浸しをいただいてるようだ。この丼の中で稚魚から煮干しになるまでのカタクチイワシの一生涯が表現されていると思うと感慨深いが、いつ口に入ったかはあまり覚えていない程の存在感。

最後まで不自然な旨味や過度な塩分も感じる事なく麺もスープも平らげていた。私にとっては巣鴨の店よりも日本人向けで感じ馴染みやすいラーメンだった。トリュフオイルのような全てを覆す強い力を持った香りを演出するのではなく慣れ親しんだ旨みで作り上げたラーメンの方が魅力的に思えた。

食事中の店内の様子も回転率は下がるだろうが地元の常連客と思われる方々が思いのままに酒を酌み交わし粋なつまみに舌鼓を打っている様子を見たときは、こんな店が近所にあったら毎日通ってしまうではないかと家が遠い事を悔しいながらもホッと安堵する一杯でした。

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